3. 水の覚醒
その極限の覚悟がみなとの内に宿った、瞬間。
みなとの身体の奥底から、清冽で清らかな「水」がこんこんと湧き出した。
ズザザーッ……!
身を削る無私の犠牲の意志が、涸れることのない豊かで冷たい水流へと昇華していく。 あふれ出た巨大な水の波は、周囲を焼き尽くそうとしていた劫火を瞬く間に鎮圧し、灼熱に狂っていた空間を、まるで静かな水底のような深い静寂へと変えていった。
火の粉は消え去り、澄んだ水が優しく包み込む世界で、少年の荒い息がしだいに穏やかなものへと変わっていく。 みなとは静かに己の掌を見つめた。
それは荒波となってすべてを押し流す破壊の力ではない。 荒ぶる熱を鎮め、傷ついた生を冷まして包み込む絶え間なき癒やし――それこそが、みなとが受け継いだ「水」の真の属性であり、覚醒の証だったのだ。